Homma Museum of Art芸術・自然・歴史の融合/公益財団法人 本間美術館
コラム
戦国武将や大名家ゆかりの美術工芸品 2/5 ―企画展「武家の美術」より―
学芸員:須藤 崇
現在開催中の企画展「武家の美術」では、戦国武将や大名家にゆかりのある絵画・書・工芸品と重要文化財『市河文書』を含めた全51点を、全10章に分けて展示。
このコラムでは、全5回にわたって章ごとの代表的な作品をいくつかご紹介します。
第3章「加賀藩主前田家ゆかりの絵画」
加賀藩主前田家ゆかりの絵画に、江戸幕府の奥絵師・狩野常信が描いた《文王・麒麟・鳳凰図》があります。これは吉祥を意味するおめでたいもので、加賀藩主前田家から酒田の豪商であった二木家が拝領したものとされています。
狩野常信《文王・麒麟・鳳凰図》 江戸時代前期~中期
第4章「庄内藩主酒井家と加賀藩主前田家 両家を結ぶ婚礼調度」
庄内藩主酒井家と加賀藩主前田家は、江戸時代中期に婚姻を結んでいます。享保8年(1723)、庄内藩五代藩主・酒井忠寄(1705~1766)と加賀藩五代藩主・前田綱紀の養女・蝶姫が婚姻しました。そのときに調えられたのが、展示中の婚礼調度(嫁入り道具)と考えられています。大名家の婚姻の折、その家の家格を保ち権威を示すためにも、費用を惜しまずに豪華な婚礼調度が調えられました。
《酸漿草・梅鉢紋散若松唐草蒔絵重箱・鏡台・鏡巣・南天柄鏡》 江戸時代中期
《酸漿草・梅鉢紋散若松唐草蒔絵耳盥・櫛箱・湯桶・盥》 江戸時代中期
両家を結ぶ婚礼調度には、黒漆地に金銀蒔絵で酒井家の家紋「酢漿草紋」と前田家の家紋「梅鉢紋」や若松、唐草文様が表されています。
2016.09.15
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