公益財団法人 本間美術館は、「公益」の精神を今に伝え、近世の古美術から現代美術、別荘「清遠閣」の緻密な木造建築の美、「鶴舞園」、さらには北前船の残した湊町酒田の歴史まで楽しめる芸術・自然・歴史の融合した別天地。

公益財団法人 本間美術館

Homma Museum of Art芸術・自然・歴史の融合/公益財団法人 本間美術館

企画展のみどころ

公益財団法人 本間美術館 [山形県 酒田市] > 展示スケジュール > 特別展 あべとしゆき水彩画展 静けさを聴くために

緑の香り 29×39㎝ 2018年緑の香り  29×39㎝ 2018年

あべとしゆき水彩画展 静けさを聴くために

令和元年8月29日〜9月30日

令和元年8月29日〜9月30日

あべとしゆき氏によるアーティストトーク

◉9月7日(土)午後2時より(45分程度)


◆主催/公益財団法人 本間美術館 
◆共催/山形県・(公財)山形県生涯学習文化財団 
◆後援/酒田市・酒田市教育委員会

◉開館時間/午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
◉入 館 料/一般/1,000円(900円)
高・大学生/450円(400円)小・中学生/無料 
※( )内は15名以上の団体入館料
上記入館料で国指定名勝「本間氏別邸庭園(鶴舞園)」「清遠閣」もご覧いただけます。

酒田市出身の水彩画家 あべとしゆき氏は、新聞社デザイナー・美術教師を経て、2008年より水彩画の制作を中心に活動しています。
水彩画の可能性を広げる卓越した技法と、写実を超えた詩情溢れる作品は、国内外の美術愛好家を魅了し“水彩詩人”と評されています。
本展では、2018年に刊行された『静けさを聴くために あべとしゆき水彩詩画集』(日貿出版社)に掲載された作品を中心に、
静寂の中に光溢れる情景を描いた作品と、自身が詠んだ詩を併せてご紹介します。
“静けさを聴くために”とは、「一人で本を読むように 一人で絵を描いていたい そして、絵の中の静けさを聴いていたい」という、
作品に向き合う姿勢を表しています。
そこには見つめ続けることでしか感じられない光の魅力や自然が紡ぐ物語を感じようする視線があり、
それらを心を込めて描くことがあべとしゆき氏の芸術の礎となっています。
何気ない日常が見せる、美しくも愛おしい姿に心震える作品の数々をご覧下さい。

上記作品/緑の香り  29×39㎝ 2018年

ここに光が訪れる
一日のわずかな時間
光のまぶしさに
緑の葉っぱ達は目を閉じる
はね返った光が土塀を照らす
その微かな光さえ愛おしく思う
そんな葉っぱもある

葉の心、知らずして
木の心、知れず

今、此処にある光  65×91㎝ 2018年

今、此処にある光  65×91㎝ 2018年

遠くのことを考えたり
かなわぬ夢を見たり
人の心は、いつも此処にいない

いつか来る何かを思うより
今、此処にある光を愛したい

薔薇の季(とき)  34×50㎝ 2018年

薔薇の季(とき)  34×50㎝ 2018年

バラ園の中央に咲く花たちの周りには
たくさんの人が集まっている
みんなカメラを手にして
名の知れたバラの写真を撮っている

そんな光景を遠くから見ている
庭の隅に咲いているバラたち

でも、それは、とても幸せそう
近くに咲く小さな花たちと一緒に
自分がバラだということを忘れ
花の季節を楽しんでいる

白い光の朝  35×50㎝ 2018年

白い光の朝  35×50㎝ 2018年

白い朝もやが、大地を包む
やわらかな光が静かに流れる

光があるから
私は今ここにいる

感謝のほかに
することは何もない

夕暮れに想う  35×50㎝ 2018年

夕暮れに想う  35×50㎝ 2018年

美しい夕暮れに出会った
世界が、意味をなくして
ただ、やさしく染まっていた

大きな自然の中で
小さく生きること
ただ、静かに生きること

冬の光の中で  29×39㎝ 2017年

冬の光の中で  29×39㎝ 2017年

ゆっくりと昇る太陽に合わせて
影は、少しずつ形を変える
雲がゆるやかに流れる度
影は、薄くなったり、濃くなったり

白く見えるのも雪の色
青く見えるのも雪の色

太陽が大きな雲に隠れた時
影は消えてなくなる

私の影も消えてなくなる