本間美術館のコレクションは、本間家から寄贈戴いた日本・東洋古美術が柱となっています。それに加え、開館以来、美術品の収集と多くの篤志家から寄贈があり、古美術から現代美術までの幅広いジャンルにわたる、およそ3,000件の収蔵品となりました。地域の文化遺産として展示公開に努めるとともに、大切に保存し次世代へ継承して参ります。
北前船がもたらした京文化を代表する雛人形や御所人形は、湊町で栄えた酒田が全国に誇る宝です。昭和23年からつづく本間美術館のひな祭りでは、鶴岡の実業家・斎藤昌二氏が蒐集された京雛や御所人形、衣装人形など(白巽文庫コレクション)を中心に、庄内の名家・風間家や、白崎家に伝来した雛壇飾りなど、貴重な古典人形をご紹介します。
本展は酒田雛街道と連携しており、酒田市内各所で様々な雛人形を楽しむことできます。
■斎藤昌二氏寄贈 白巽文庫コレクション
斎藤昌二氏は鶴岡市の実業家です。書画など古美術にも造詣が深く、自身のコレクションを白巽文庫に愛蔵していました。昭和39年、白巽文庫から内裏雛・御所人形・衣装人形など約70点、200体の古典人形を斉藤氏にご寄贈いただきました。
斎藤氏のコレクションは、どの分野でも一つひとつ系統を追い、学術的な体系を整えて蒐集されています。古典人形においても時代による変遷や系統を表す内裏雛は貴重で、御所人形や衣装人形においても特色ある内容を誇ります。
白巽文庫コレクションは、本間美術館の収蔵する古典人形の主軸となっています。
■白崎家の雛壇飾り
江戸時代に酒田三十六人衆に名を連ねる豪商・白崎家に伝わった壇飾りです。
横幅は約二間(3.6m)、八壇もある大きな雛壇には、紫宸殿を模した木枠に内裏雛が並び、その前で三月三日の宮中行事である闘鶏が行われているのが特徴です。内裏雛は江戸末期に流行した形をしており、男雛は笏を口元に傾けるような恰好をしています。雛壇のほとんどが式三番・道成寺・鉢の木・高砂・羽衣などの能楽や狂言、七福神の趣向人形で構成されており、精巧で美しい雛道具も見どころとなっています。